■ 海外情報

★AMFニュースレター(2018年第3号(2018年12月発行))【主要記事】

◆◆目次◆◆

目次
○実証事業/プロジェクト/市場動向に関する情報
 最新のディーゼル車の路上排出
 LNGによる道路輸送の脱炭素化
 BASF社がEU-REDcert認証のメタノールを製造
○政策/規則/指令/基準に関する情報
 増加する二酸化炭素排出量
 中国におけるエタノール生産
 バイオ燃料及び/または電化?
○航空分野の注目ニュース
 廃棄物からジェット燃料(バイオ燃料)
 燃料サプライチェーンの取組み
○燃料電池自動車と水素に関する注目ニュース
 大規模液化水素プラント
 日本での水素エネルギー閣僚会議
 日本が大型水素製造プラントを建設
 日本における水素ステーションの配置
 韓国は燃料電池の製造を推進
 燃料電池トラック
○IEA及びIEA-AMFのニュース
 第56回IEA AMF 執行委員会(AMF ExCo 56)
 新規のAMFプロジェクト
 新規のAMFレポート
○出版物
 脱炭素輸送に向けて
 バイオフューチャーの作成
 燃料燃焼によるCO2排出(2018年)
 東アジアのバイオ燃料
 燃費の向上
 輸送用燃料としての再生可能メタン
 環境に優しい輸送のための代替燃料
 再生可能ジェット燃料に関する包括的な分析
 燃料電池自動車の展開
 ACEA(欧州自工会)レポート:自動車保有統計(ヨーロッパ2018)
○イベント
出典:https://www.iea-amf.org/(英語ページ)

以下、いくつかの注目ニュースについて仮訳した情報を記載します。

◆◆実証事業/プロジェクト/市場動向に関する情報◆◆

LNGによる道路輸送の脱炭素化
 バイオLNGユーロネット(BioLNG EuroNet)は、欧州全域の道路輸送用燃料としてのLNG(液化天然ガス)のさらなる拡大への取組みを発表した。シェル(Shell)、アメリカ国防情報システム局(DISA)、スカニア(Scania)、イベコ(IVECO)、CNH Industrial Capital Europeのイベコキャピタル(IVECO Capital)及びNordsolからなる協議会はそれぞれ個々に活動を行っており、これにより、さらに2,000台のLNGトラック、39カ所のLNG燃料補給所、及びオランダにバイオLNG生産工場が建設される予定です。
 LNGステーションは、ヨーロッパネットワークの一部を形成し、スペインからポーランド東部までの主要道路網の沿道に約400kmごとに配置されます。BioLNG※施設は、年間3000トンのBioLNGを生産し、有機性廃棄物から製造されたバイオガスを使用する予定です。これはLNGネットワーク経由でエンドユーザーに販売されます。

※BioLNG(または液化バイオメタン):有機性廃棄物を処理することによって作られるバイオ燃料。嫌気性消化が起こるとバイオガスが発生。物質の生物学的分解の過程でメタンガスが生成される。BioLNGは実質的にCO2ニュートラルであり、ディーゼルエンジンに対してCO2排出量の削減、エンジン音の低減、NOxの低減、及びPM(粒子状物質)排出量の大幅な削減などの利点があります。


LNGトラック

LNGステーション

LNGステーション全景
出典:https://biolngeuronet.eu/(英語ページ)

◆◆政策/規則/指令/基準に関する情報◆◆

増加する二酸化炭素排出量
 最新のエネルギーデータによると、石炭消費量の減少を上回る石油、ガスの使用量の増加があったため、北米、欧州連合及びその他のアジア太平洋地域の先進国でのエネルギー関連CO2排出量が増加しました。その結果、IEAは、2018年に先進国におけるCO2排出量が約0.5%増加すると予測しています。
 排出量の増加は2.4%の経済成長の増加よりも低いが、パリ協定を満たすための世界的な取組みへの影響が懸念されます。世界のエネルギー関連のCO2排出量は、できるだけ早くピークに達し、その後、国々が気候目標を達成するため急激に減少させる必要があります。
 2018年に世界の石油需要は堅調に伸びると見込まれており、特に都市の大気汚染を抑制することを目的とした中国の政策により影響されます。 IEAは、これが2018年に世界全体のCO2排出量の増加につながると予想しています。この増加は、2014年から2016年までの3年間の横ばい後の2017年の1.6%の増加に続くでしょう。なお、パリ協定の目標並びに大気汚染の低減及び世界規模のエネルギー利用を考慮したIEAの持続可能な開発シナリオでは、世界の排出量は2025年まで毎年1%以上減少することになっています。なお、パリ協定の目標並びに大気汚染の低減及び世界規模の燃料供給と整合するIEAの持続可能な開発シナリオでは、世界の排出量を2025年までに毎年1%以上減少するとしています。

出典:https://www.iea.org/(英語ページ)

◆◆燃料電池自動車と水素に関する注目ニュース◆

燃料電池トラック
 現代自動車(Hyundai Motor)は、スイスの水素会社H2エナジー(H2 Energy)と覚書を締結しました。2019年から5年以上にわたり、現代自動車とH2エナジーは、1,000台の大型燃料電池トラックと再生可能水素の適切なサプライチェーンを提供します。
 燃料電池トラックはヨーロッパの規制に基づいて開発されており、2つの燃料電池システムを並列に接続した190kWの新しい水素燃料電池システムを特徴としています。 一回の走行で約400kmの走行が期待されており、十分な走行距離を確保するために、キャビンと荷台の間などを利用して8基の大型水素タンクをコンパクトに設置しています。

燃料電池トラック(現代自動車&H2エナジー)
出典:H2エナジー(英語ページ)

◆◆IEA及びIEA-AMFのニュース◆◆

第56回IEA AMF 執行委員会(AMF ExCo 56)
 第56回IEA AMF 執行委員会は、2018年10月15日〜18日にインドのニューデリーで開催されました。16の締約国のうち10か国が執行委員会に参加し、進行中のすべてのAMFプロジェクトに関する進捗報告が発表されました。
 議論された新しいプロジェクト提案には、「エンジン燃料としてのアンモニア」、「市場導入に関して学んだ教訓」、「先進的船舶用燃料」、「輸送部門の脱炭素化におけるバイオ燃料の役割」、及び「農業及び都市廃棄物からのバイオ燃料」が含まれました。
 輸送燃料としてのアンモニアの可能性とそれが及ぼす可能性のある影響についての最初の文献レビューに資金を提供することが決定されました。「市場導入に関して学んだ教訓」に関する提案は、オーストリアのエネルギー研究開発プログラムに対する補助金が認められるという前提条件付きで承認されました。他の提案はさらに修正され、次回の委員会で再び議論されます。
 最後に、新しい執行委員会の副議長(3名)が選出されました。現在の組織構成は、次のとおりです。

IEA AMF 執行委員会の組織構成
出典:https://www.iea-amf.org/(英語ページ)

新規のAMFレポート
◇Annex(共同研究)53最終報告書:持続可能なバスシステム
 持続可能なバスシステムに関するAnnex53の第一段階は完了しており、最終報告書はAMFウェブサイトで入手可能です。このプロジェクトの目的は、実験室の測定値を使用してチリ・サンティアゴ市の代表的な運転サイクルを設計すること、及びさまざまな公共バス技術からのエネルギー効率及び排出量を認証するためのラベリングシステムの提案です。
 プロジェクトは成功し、「サンティアゴの運転サイクル」はチリ政府によって正式に採択されました。サンティアゴで新たに投入するバスの運用形態は、認証プロセスの一部として、このサイクルの下でテストすることになります。これにより、高度で革新的且つクリーンで効率的な技術の採用を促進することができます。
 Annex53の第2段階では、今後数十年の間に発展途上国の他の都市でも先進的なバス技術をうまく展開できるようにする情報、ツール、及びトレーニングのプラットフォームを開発することを目的としています。
全文:第2プロジェクトフェーズの詳細については、チリのCentro Mario MolinaのGianni Lopezに連絡してください。(英語ページ)
出典:https://www.iea-amf.org/(英語ページ)

◇Annex50の主なメッセージ:定置型や芝刈り機、建設車両などのオフロードエンジンにおける燃料と技術の代替案
 路上走行車と比較して、特に古い定置型や芝刈り機、建設車両などは局地的な汚染物質排出量が多い。しかし、Annex50によれば、最新の排出ガスクラスであるステージVは、定置型や芝刈り機、建設車両などリアルワールドでの運用中に極めて低い排出量になることを示しています。可能であれば、あまり洗練されていない技術からステージVへ直接飛び越えることが推奨されます。あるいは、硫黄を含まない軽油の使用が保証できない場合は、Tier 3 /ステージIIIAへの移行が最善の選択肢となります。再生可能で先進的なドロップイン燃料※は、新旧両方の機械からのGHGと規制排出ガスを削減するための実行可能な選択肢です。
※ドロップイン燃料:航空機/エンジンの燃料システムや燃料供給ネットワークに特別の適用措置を必要とせず、現在使用しているジェット航空機に「そのまま」で使用できるもの。言い換えると、燃料に合わせ設備を改造したり、運転上必要な調整をする事は莫大なコストと大きなリスクを伴うので航空機に関してはそのような事は考えていない。
出典:https://iea-amf.org/content/projects/map_projects/50(英語ページ)

◇Annex52の主なメッセージ:効率化のための燃料
 最近のエンジンは、燃料効率を改善するための5つの異なる概念の分析結果から、エタノール混合燃料及びパラフィン系燃料並びにメタノール水蒸気改質燃料を使用した場合、点火時期や燃料噴射時期に関してエンジンを調整することで、より優れた燃料効率を可能にしています。現代のエンジンは、石油系の燃料以外の燃料に対しても適合可能であるべきです。
出典:https://iea-amf.org/content/projects/map_projects/52(英語ページ)

■ トピックス

★LEVOの国際協力活動

 LEVOは、国際エネルギー機関(IEA)の自動車用先進燃料に関する技術連携プログラム(AMF TCP、以下AMF)の活動に政府指定機関として参加しています。IEAにはエネルギーに関係する取り組みが多数設置されており、その一つであるAMFは、自動車用燃料の特に原油に代わる先進的で再生可能な代替燃料に関する共同研究や動向調査及び情報発信などを行っています。
 今回は、LEVOが出席した執行委員会の情報を紹介します。なお、AMFには日本からは独立行政法人自動車技術総合機構交通安全環境研究所(交通研)と国立研究開発法人産業総合技術研究所(産総研)も参加しています。

◆◆第56回IEA AMF 執行委員会◆◆

 AMFの取り組みである共同研究等の進捗報告やその方向性の議論を行う場が「執行委員会」で、年に2回、参加国の持ち回りで開催されています。今回出席した第56回執行委員会は以下のとおりです。

********************************************************************************
【日時】2018年10月15日(月)〜10月18日(木)
【場所】インド ニューデリー
【出席国】日本(LEVO)、韓国、スペイン、スイス、オーストリア、デンマーク、スウェーデン、フィンランド、アメリカ、インド、チリ(Web会議で参加)の計11ヵ国(欠席5ヵ国)
【事務局】オーストリア
【オブザーバー】Indian Oil(インド)、ANGVA(アジア太平洋天然ガス自動車協会)
********************************************************************************


執行委員会の様子

 今回の執行委員会では、2020年以降のAMFの活動期間延長の議論が行われたほか、委員会を取り仕切る議長団の議長と副議長が新たに任命(投票により決定)されました。現在幾つか進められている共同研究(Annex※)に加え、新しい研究項目が承認されるなど新しい動きが多数ありました。日本もこの新たな研究課題への参加を予定しています。以下に議論された主なAnnexについて紹介します。

※Annexとは共同研究の事を言い、AMFの取り組みの中で提案された順に番号が付与されています。

◆◆Annex◆◆

Annex51メタン排出制御
 LEVOが参加している本研究では、エンジン単体または排気後処理装置(触媒など)により、天然ガスエンジンの排出ガス中のメタンを抑制する技術や方策について研究を行っており、LEVOはこの研究において文献調査を担当しました。次回の執行委員会までに完了を予定しています。研究終了後はAMFのHPに報告書が掲載されます。(https://www.iea-amf.org/)

Annex56メタノール燃料に関する調査(新規)
 本執行委員会で新規に承認された同研究のメタノールは、ガソリンや軽油に代わる燃料(MTBEやFAMEなど)として使用が可能で、石炭やその他の原料から製造が可能です。また、燃焼の際の排出ガスがクリーンであることなどから海外において代替燃料や大気環境改善アイテムとして注目されています。
 日本でも20年ほど前に代替燃料としてトラックなどの商用車(当時LEVOではメタノールトラックの普及活動を実施)で使用されていたことから、これらの技術的知見や使用実態などを本共同研究において情報提供する形で貢献を計画しています。

Annex57重量車の環境影響調査(新規)
 Annex56と同様に本執行委員会で新規に承認された同研究は、大型トラックや中型トラックに係る環境影響についての研究です。近年、自動車の代替燃料として代表的な天然ガスを燃料にする天然ガスエンジンや、軽油と天然ガスの2つ燃料を使用する2元燃料エンジンを搭載した最新の車両について、実験設備による評価のほか実路評価などから排出ガスの環境影響を調査する計画です。
 天然ガスは使用国によってメタンやプロパンなどのガス組成が異なるため、日本のガス組成(13A相当)を含めた評価を実施するよう要望をしていくとともに、コストシェアとして貢献を計画しています。

戻る

一般財団法人 環境優良車普及機構 〒160-0004 東京都新宿区四谷2丁目14-8 TEL:03-3359-8461(代表) FAX:03-3353-5439
Copyrightc 2010・2011 Organization for the promotion of low emission vehicles. All Rights Reserved.