IEA・国際共同研究
LEVOのIEA AMF TCPにおける活動について
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IEAの活動のひとつとして、自動車用代替燃料(天然ガス、水素、バイオ燃料等)の技術に関する研究・関発を行う「自動車用先進燃料技術連携プログラム(以下AMF TCP※)」があります。
LEVOは日本政府の指定機関として1996年にこのプログラムに参加して以来、日本の環境対応車の普及促進状況を発表するなど積極的な国際貢献に努めると共に、国際共同研究に参加し、各国の環境対応車の技術動向調査や情報収集や情報提供等を行っています。ここでは、LEVOが行っている具体的な活動の一端を紹介します。なお、掲載情報は都度アップデートしてご案内致します。
※AMF: Advanced Motor Fuel, TCP: Technology Collaboration Program
活動概要
(1)執行委員会活動
LEVOが参加しているAMF TCPでは、各国持ち回りで開催される執行委員会において、活動の共向性や研究テーマなどを検討するとともに共同研究の進捗報告が行われます。
執行委員会活動の例を紹介します。
従来、参加国いずれかの現地において実施されている執行委員会ですが、コロナウィルスによる渡航制限により直近の3回(2020年5月、11月、2021年5月)についてはWebによりオンラインで開催されました。そこで、現地開催の2019年11月スイスでの第58回執行委員会を紹介します。
- 開催日 :2019年11月4日(月)~7日(木)
- 開催場所 :スイス モントルー
- 出席 :日本(LEVO)、オーストリア、カナダ、チリ、中国、デンマーク、フィンランド、ドイツ、インド、韓国、スペイン、スウェーデン、スイス、アメリカ (計14カ国)
- 事務局 :オーストリア
- オブザーバー :国際運輸フォーラム、メタノール協会、スイス連邦環境局、IEA Bioenergy Task39、インドネシア、IEA事務局
この執行委員会では、実際に路上を走行している車両からの排出ガスを計測するリモートセンシングに関する調査について提案がなされました。この提案には複数の国が興味を示し、次回の執行委員会までに詳細な調査内容等を取りまとめることとなりました。なお、その後の委員会において同研究課題が共同研究として承認され、研究が開始されました。
今回の執行委員会ではこれまでにない取り組みとして、燃料との関係が強いエンジン燃焼に関する研究を進めている燃焼TCPとのジョイントワークショップが開催され、さらなる排出ガスの低減手法や先進エンジンと最適な燃料の関係についての議論や相互交流が図られました。
通常、執行委員会では新規の国際共同研究に関する提案、議論のほか、執行委員会開催国がホストになり、自動車用代替燃料の動向等の話題提供並びに関連施設の技術見学等が行われます。今回の執行委員会では、Liebherr社(ホイールローダーなどの建設機械の製造)を訪問し、同社の環境に関する取り組みの話題提供を受けたほか、建設機械の最新設備の見学が行なわれました。
(2)国際共同研究の実施
自動車交通の脱炭素化に向け、自動車用代替燃料(天然ガス、水素、バイオ燃料等)、各国の環境対応車の動向等に関する研究や情報交換が行われています。近年は、舶用、航空用燃料の分野についても研究が進められています。
具体的な国際共同研究は、AMF TCPの活動を検討するための「執行委員会」の下に設置される「タスク」(Task:課題)で行われます。タスクには、それぞれ発足の順に番号が付与されます。タスクの活動は、執行委員会で発足が承認され、そのプロジェクトに関心のある2カ国以上が参加し、参加国は研究費用を分担します。タスクの運営は1カ国を「運営機関」(Task manager)とし、ここが責任を持ってプロジェクトを進めていくことになっています。これまでLEVOは、1996年の参加以来、多くの国際共同研究に参加しました。
タスク番号は共同研究として承認された順に付され、2024年2月現在No.65まであります。以下にこれまでLEVOが参加した共同研究を示します。
No | 提案国 | 期間 | 参加国 | プロジェクト名 | 備考 | ||
---|---|---|---|---|---|---|---|
13 | フィンランド 米国 | 97-99 | 7 | バイオディーゼル燃料の排出ガス特性 | 終了 | ||
14 | オランダ | 97-00 | 7 | ディーゼルエンジン用燃料としてのDMEのフィージビリティ研究 | 終了 | ||
15 | オランダ | 98-99 | 5 | 代替燃料普及のバリア | 終了 | ||
17 | ベルギー | 98-90 | 7 | 重量車用の新技術の路上での実影響 | 終了 | ||
18 | 米国 | 97-02 | 7 | 将来のグリーンディーゼル燃料 | 終了 | ||
20 | オランダ | 00-02 | 7 | 自動車用燃料としてのDME-Ⅱ | 終了 | ||
21 | オランダ | 00-02 | 4 | 代替燃料自動車市場普及戦略 | 終了 | ||
22 | フィンランド | 00-03 | 6 | 代替燃料自動車の低温時の微粒子 | 終了 | ||
26 | フィンランド | 02-05 | 4 | 世界で進行中のディーゼル用アルコール エステル燃料の実状評価 | 終了 | ||
27 | フィンランド | 02-03 | 5 | 自動車用代替燃料の標準化動向 | 終了 | ||
28 | フィンランド | 04- | 11 | 代替燃料情報サービス及びウェブサイト運営 | 実施中 | ||
34 | 米国 | 09-10 | 5 | バイオマス由来のディーゼル燃料調査 | 終了 | ||
35 | デンマーク | 07-09 | 11 | 自動車用燃料としてのエタノール | 終了 | ||
37 | フィンランド | 08-10 | 6 | バスの代替燃料及び技術調査 | 終了 | ||
38 | 日本(NTSEL,LEVO) | 09-11 | 5 | バイオディーゼル自動車の環境影響 | 終了 | ||
39 | スウェーデン | 09-11 | 3 | 重量車用メタンエンジンの排出ガスの改善 | 終了 | ||
40 | カナダ | 10-14 | 5 | 自動車用燃料パスにおけるライフサイクル分析 | 終了 | ||
47 | 日本(AIST) | 12-16 | 4 | 自動車用DME燃料使用の再考 | 終了 | ||
49 | フィンランド | 13-15 | 10 | 商用車の代替燃料及び技術に関する研究 | 終了 | ||
51 | デンマーク | 14-19 | 6 | 天然ガスエンジンのメタンエミッションコントロール | 終了 | ||
56 | フィンランド | 18-20 | 9 | 自動車用燃料としてのメタノール | 終了 | ||
57 | フィンランド | 18-21 | 8 | 重量車の性能評価 | 終了 | ||
58 | オーストリア | 19-21 | 9 | 輸送機関の低炭素化に向けた再生可能エネルギーの役割 | 終了 | ||
59 | オーストリア | 19-21 | 5 | 代替燃料の経験と教訓 | 終了 |
バイオディーゼル自動車の環境影響
このうち、タスク38は、2009年5月にヘルシンキで開催された第37回執行委員会で、(独)交通安全環境研究所(NTSEL)とともにLEVOが提案し、採択されたタスクです。参加国は、フィンランド、米国、スウェーデン、タイ及び日本の5カ国です。
このタスクは、バイオディーゼル燃料を用いた小型貨物自動車の路上走行時の排出ガスを調査するもので、あわせてエコドライブの効果も調べました。第Ⅰ期は2011年に第Ⅱ期は2014年に終了しました。