なるほど!ザ・ワード〜低公害車用語解説〜

自動車環境問題に関することばを取り上げて解説します。

第12回 DME

◆DMEの特徴

DMEはDi-Methyl Ether(ジメチルエーテル)の略称で、化学式がCH3OCH3で表される比較的単純な構造の物質です。LPGと似た性質(第11回 LPG参照)を持ち、常温・常圧下では気体ですが、−25℃程度まで冷やしたり、5気圧程度の圧力を加えたりすると簡単に液体になるので、貯蔵や輸送が容易になります。DMEは人体に対して無害なため、一部の溶剤や冷媒にも使用されますが、大部分が化粧品、塗料、農薬用のスプレー剤として使用されています。
DMEは、1990年代初頭に大量生産できる技術的な目処が立ち、自動車用の石油代替燃料として注目を浴びるようになりました。DMEは軽油と同等以上の高いオクタン価を持つため、ディーゼルエンジンの燃料に適しています。しかし、発熱量が小さいため、軽油と同じ発熱量を得るには約2倍の燃料噴射量を必要とします。また、DMEをそのままディーゼルエンジンに使用すると、ゴム材の溶解や燃料噴射ポンプの摩耗等の不具合が起こることがわかっています。現在、これらの問題解決がDME自動車の開発課題となっています。

■各種燃料の特性

注)軽油、ガソリンは代表的な数値を示す。
出典:オランダTNO研究所

◆生産・供給方法

DMEの製造方法には、DME直接合成法及びメタノール脱水法がありますが、現在、商業化されているのはメタノール脱水法です。年間生産量は日本で1万トン、世界では15万トン程度となっています。
DME直接合成法は1990年代の前半に基礎技術が確立され、現在、大量製造技術の確立に向け、大型プラントの実証試験が行われています。
DMEの原料は水素(H2)と一酸化炭素(CO)からなる合成ガスです。合成ガスは、石炭、天然ガス、バイオマス、廃棄物等、様々な原料から製造することができます。このことから、DMEは自動車用に限らず、将来的に有望なエネルギーの一つになると考えられます。

◆環境への影響

DMEは燃料中に酸素を含んでおり、ディーゼルエンジンに使用しても黒煙を全く排出しません。このことにより、窒素酸化物(NOx)低減触媒の適用が容易になり、軽油と比べてNOxも大幅に減らすことができます。

■DMEエンジンのNOx及び黒煙排出特性の一例

出典:http://www.nkk.co.jp/release/0202/dme020227.pdf

◆DME自動車の開発と普及状況

これまでにDME自動車の試作車が製作されていますが、実用化に至った例はまだありません。デンマークでは、Volvo社製DMEバスによる実証試験が行われました。わが国では、政府主導のもと、DME自動車の研究開発が進められており、国土交通省の「次世代低公害車開発促進プロジェクト」(平成14〜16年度)では、大型DMEトラックの実用化に向けた開発が進められています。また、NKK(現JFEグループ)では、独自にディーゼルトラックを改造したDMEトラックを試作し、国土交通大臣の認定を受けて公道走行試験を行っています。

写真
DMEバス

出典:国土交通省 報道発表資料

写真
DMEトラック

出典:http://www.nkk.co.jp/release/0202/dme020227.pdf


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