■海外情報



IEA(国際エネルギー機関)とは


1 設立
 第1次石油危機後の1974年に、キッシンジャー米国務長官(当時)の提唱を受けて、OECD(Organization for Economic Co-operation and Development:経済協力開発機構)の枠内における機関として、IEA(International Energy Agency:国際エネルギー機関)が設立された。事務局所在地はパリ。

2 加盟国
 OECD加盟国(35か国)かつ、備蓄基準(前年の当該国の1日当たり石油純輸入量の90日分)を満たすことがIEAに参加する要件。現在の加盟国は、オーストラリア、オーストリア、ベルギー、カナダ、チェコ、デンマーク、エストニア、フィンランド、フランス、ドイツ、ギリシャ、ハンガリー、アイルランド、イタリア、日本、ルクセンブルク、オランダ、ニュージーランド、ノルウェー、ポーランド、ポルトガル、韓国、スロバキア、スペイン、スウェーデン、スイス、トルコ、イギリス、アメリカ(アルファベット順)の29か国。(2017年8月現在)

3 目的・活動
・Energy Security(エネルギー安全保障の確保)
  全ての燃料やすべてのエネルギー源の多様性、効率性、柔軟性、信頼性を推進する。
・Environmental awareness(環境保護)
  経済成長を促進し、エネルギーの貧困を解消するための自由市場を支援する。
・Economic development(経済成長)
  気候変動と大気汚染に特に取り組むために、環境へのエネルギー生産と使用の影響を相殺するための政策オプションを分析する。
・Engagement worldwide(世界的なエンゲージメント)
  パートナー国、特に主要新興国と緊密に協力して、エネルギーと環境に関する懸念を共有するソリューションを見つける。
 これら4つのEを共通目標に掲げ、エネルギー政策全般をカバーする。

4 日本にとってのIEAの意義
・石油供給の大半を外国に依存する日本は供給途絶の際、IEAの緊急時対応システムにより助けとなるところが大きく、我が国のエネルギー安全保障上極めて重要である。
・エネルギー政策全般にわたる知見で高い国際的評価を得ているIEAおよび政策提言は、我が国の政策、知識ベースとして、また意見交換の場として重要。

5 意思決定機関
・全加盟国の代表により構成される理事会がIEAの最高意思決定機関として各種決定・勧告の採択を行う。

−出典−
外務省ホームページ
IEAホームページ(英語ページ)


AMF(自動車用先進燃料実施協定)とは


1 概要
 AMF(Advanced Motor Fuels)は、IEA(International Energy Agency)の輸送関連技術コラボレーションプログラム(TCP)の1つである。IEAにはエネルギーに関係するTCPが38設置されており、その一つであるAMFは、クリーンでエネルギー効率に優れた燃料や車両技術を促進するために、2017年7月現在15か国が参加する国際的な協力体制を整えている。この体制のものとAMFでは、自動車用燃料の特に原油に代わる先進的で再生可能な代替燃料に関する共同研究や動向調査および情報発信などを行っている。

2 加盟国
 現在の加盟国は、オーストリア、カナダ、チリ、中国、デンマーク、フィンランド、ドイツ、イスラエル、日本、韓国、スペイン、スウェーデン、スイス、タイ、米国(アルファベット順)の15か国。 (2017年8月現在)
 LEVOは、政府指定機関としてIEAのAMF実施協定の活動に参加している。また、日本からはLEVOのほか、独立行政法人自動車技術総合機構交通安全環境研究所(交通研:NTSEL)、国立研究開発法人産業総合技術研究所(産総研:AIST)が政府指定機関として参加している。

3 執行委員会
 AMFの取り組みである共同研究等の進捗報告やその方向性の議論を行う場が執行委員会である。執行委員会は1年に2回、参加国の持ち回りにより各国で開催されており、今年の10月30日(月)から4日間で開催する第54回執行委員会は日本で開催される。

4 共同研究(Annex)
 Annex(アネックス)とは共同研究の事を言い、AMFの取り組みの中で提案された順に番号が付与されている。LEVOが参加している「メタン排出制御の研究」はAnnex51と呼ばれ、エンジン単体または排気後処理装置(触媒など)により、天然ガスエンジンの排出ガス中のメタンを抑制する技術や方策について研究を行っており、LEVOはこうした技術や方策に関する研究論文の調査を実施している。メタン(CH4)は温室効果ガスの一種で、二酸化炭素(CO2)と比べると地球温暖化係数が25倍となっている。2015年度の日本における温室効果ガス排出の90%以上はCO2で、CH4は2.4%(CO2換算)となっており、メタンの排出はわずかですが、こうした研究を進めることで、将来的な地球温暖化の抑制が期待される。

−出典−
AMFホームページ(英語ページ)
IEAホームページ(英語ページ)


AMF Newsletter(May 2017, issue no. 1/2017)より


◆◆実証事業/プロジェクト/市場動向に関する情報◆◆


GMがB20を使用するディーゼル車を市場に投入
 米国の自動車大手ゼネラルモーターズ(General Motors Company)社は、B20(バイオディーゼル燃料20%、軽油80%)のバイオディーゼル燃料(BDF)混合軽油を使用できる車種を市場に投入している。ゼネラルモーターズ社は、2017年に8つの新モデルにディーゼル車を加え、2018年には、乗用車からピックアップ、SUV、商用バン、ローキャブフォワードトラック(キャブオーバー型のトラック)までの20車種にディーゼル車を投入している。これらのディーゼル車は、すべてB20を燃料とする仕様である。
 ゼネラルモーターズ社のブランドであるシボレー(Chevrolet)とジーエムシー(GMC)※は、2017年と2018年のモデルを含め、20%のバイオディーゼル燃料と80%の超低硫黄軽油を混合したB20を使用できる多くの車種を投入する。
※ジーエムシー(GMC)は、ゼネラルモーターズ(GM)が北米及び中東地域で展開している商用車やライトトラック(ピックアップトラック・SUV)部門のブランド。
出典:http://biofuels-news.com(英語ページ)

メキシコ初のCNGスタンドがオープン
 ガス・ナトゥラル・フェノーサ(GNF)社とナットガス(Natgas)社は、アグアスカリエンテス(Aguascalientes)州で開設予定の4基のCNGスタンドのネットワークの一つとして、アグアスカリエンテス市に最初のCNG給油所を開設した。この提携による最初のCNGステーションの設置によって、公共交通機関や民間の車両の天然ガスへの燃料転換と燃料節約を促すことができる。さらに、この3,000万ペソ(約6600万円)のCNGスタンドは、来年からその地域で操業を開始する予定の18か所のネットワークの一部である。この拡大計画を構成する供給拠点には、サンルイス・ポトシ(San Luis Potos)の州に4か所、グアナファト(Guanajuato)に9か所、アグアスカリエンテスに4か所が含まれている。

出典:http://www.ngvjournal.com(英語ページ)

◆◆政策/規則/指令/基準に関する情報◆◆


デンマークの先進的なバイオ燃料混合指令(指令:条令のようなもの)
 デンマークは、運輸部門において、2020年までに0.9%のバイオ燃料混合指令を実施する計画に合意した。これにより、第二世代のバイオ燃料を後押しすることになる。例えば、廃棄物から作られたバイオ燃料を使用することによって、デンマークはイタリアなどの先進国にバイオ燃料の分野で先行することになる。なお、イタリアのバイオ燃料の混合比率は0.6%である。デンマークの先進的なバイオ燃料混合のニュースは、2030年までの先進バイオ燃料指令である欧州委員会再生可能エネルギー指令(RED)(改訂)の交付に従うものである。
出典:http://biofuels- news.com(英語ページ)

世界のバイオ燃料規制の動向
 米国に本拠を置く「バイオ燃料ダイジェスト」は、64カ国のバイオ燃料規制を対象に、世界のバイオ燃料規制と目標を整理した年次レビューを発表した。多くの規制はEU-27からのものであり、再生可能エネルギー指令は2020年までに再生可能燃料含有量10%を指定しているが、直近の規制では5〜7.5%の範囲に縮小されている。南北アメリカの13カ国、アジア太平洋地域の12カ国、アフリカとインド洋の11カ国、欧州の非EU諸国からの2カ国が、義務化または目標を検討中である。 EU以外にも、主要なバイオ燃料指令は米国、中国、ブラジルに設定されている。
 ダイジェストは、過去において、クイーンズランド、フィンランド、ノルウェー、ベトナム、インド、インドネシア、アルゼンチン、ブラジルで、強化された規制は時代遅れである。しかし、低炭素燃料基準も普及しており、カナダはその方向に向かっている。カリフォルニア州は低炭素基準のモデルである。現在、カリフォルニア州は26種類の原料から得られた7種類の低炭素燃料を使用しており、燃料消費量の11.3%を占めている。石油消費量の伸びは四半期でわずか0.5%に低下したが、低炭素燃料は四半期で1.6%増加した。
出典:www.biofuelsdigest.com(英語ページ)

◆◆スポットライト 電気自動車◆◆


オーストリア初の電気商用車
 オーストリアで初めて電気商用車の生産が開始された。 SFL Technologiesの小型商用車ELIは、地方自治体用に特別に開発されたもので、100%電気で走行するので、排出ガスを出さない。ELIは全てシュタイアーマルク州の部品によって製造されており、オーストリアで初めて道路使用のための欧州型式認証を受けた電気自動車である。この電気自動車の製造には、グリーン技術が使用されている。屋根にソーラーパネルと太陽光発電モジュールを設置した特別な工場で製造される。実際、この工場では電気自動車の製造に使用するエネルギーより多くのエネルギーを作り出している。

オーストリア最初の電気商用車
出典:https://www.greentech.at(英語ページ)

ベルギーにハイブリッドバスが導入
 ボルボ社とABB社は、輸送サービスの電化をヨーロッパで展開している。ベルギーのシャルルロワ(Charleroi)とナミュール(Namur)の2都市で、合計90台のVolvo 7900 Electric HybridバスとABB社の12台の電気自動車用急速充電スタンドが導入された。この結果、ナミュールの公共交通機関の90%が電化され、住民に化石燃料の燃焼により排出される汚染物質の大幅削減がもたらされる。

ベルギーで導入されたハイブリッドバス

出典:https://cleantechnica.com(英語ページ)

ドイツの電気トラック実証実験
 メルセデスベンツトラック(Mercedes-Benz trucks)社の親会社であるダイムラー(Daimler)社は、2020年までの本格的な生産開始に向けて都市型電気トラック(Urban e-Truck)の製造を始めている。顧客クループで実際の輸送や物流に使用して充電時間、バッテリー等の運用面の実証実験を行う。都市型電気トラックによる輸送はドイツで開始され、順次、他のヨーロッパ諸国に拡大していく計画である。
 輸送部門におけるCO2排出削減の最大障壁の1つは、「ラストマイル(last mile)」(日本では「ラスト1マイル」と言われる)における端末輸送である。今日まで、電気自動車は、リチウムイオン電池の寿命、重量、長さによって制限されていたが、この都市型電気トラックには、212キロワット時(kWh)のバッテリパックが搭載されており、1充電あたり約124マイル(198q)の走行が可能である。

都市型電気トラック(Urban e-Truck)
出典:https://dailyplanet.climate-kic.org(英語ページ)

◆◆IEA &IEA-AMFニュース◆◆


インドがIEAに加盟
 国際エネルギー機関(IEA)は、より安全で持続可能なエネルギーの未来のために、世界3位のエネルギー消費国であるインドをパートナーシップ拡大の協力国として迎えた。インドは、世界の人口の約5分の1を占めているが、世界のエネルギーの約6%しか使用していない。しかしながら、今後の収入の増加、人口の増加、都市化の影響により、エネルギー需要が増加する可能性が大きく、IEAのインドのエネルギー需要予測によると、今後25年間で倍増すると予想されている。

Goyal(左)大臣とPradhan大臣との共同記者会見の後、Fatih Birol博士(中央)がIEA加盟を発表

出典:http://www.iea.org(英語ページ)


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