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★航空部門における脱炭素化((IEA(国際エネルギー機関)の自動車用先進燃料連携プログラム経由で入手した雑誌「Advances in Applied Energy」から抜粋翻訳)

◆◆はじめに◆◆

 低炭素あるいはカーボンニュートラル燃料は、今後自動車以外の交通モードにおいても利用されるため、自動車の脱炭素化を進める過程において他分野の動きも注視する必要があると思われます。このような中、運輸部門では、船舶、航空機及びトラックは脱炭素化が難しい交通モードであるといわれており、どのような方策で脱炭素化を行うかについて種々の研究が行われております。
 LEVOが政府指定機関として参加しているIEA(国際エネルギー機関)の自動車用先進燃料連携プログラム経由で入手した「Advances in Applied Energy」という雑誌に「海運、航空及び道路貨物運送部門における適した低炭素燃料に関する分析」に関する論文が掲載されております。今回は、このうち航空部門における脱炭素化の分析について紹介します。

◆◆要 点◆◆

航空機の電動化は非常に困難
  • 短・中距離及び長距離のフライトを電動化するためには、バッテリーの質量は航空機全体の最大許容離陸重量(その機種が離陸することができる総重量の最大値)のそれぞれ1.7倍と3.8倍になる。これは短中期的には実現できない。
水素(圧縮/極低温)やバイオメタン(圧縮/液化)などの燃料も有効積載量が著しく減少
  • 短距離フライトでは液体水素の使用が航空機の最大許容離陸重量の32%を占めるのに対し、長距離フライトでは液体水素が航空機の最大許容離陸重量の71%を占める。液化バイオメタンについても同様の結果で、短距離飛行では航空機の最大許容離陸重量の22%、長距離飛行では50%を占める。一方で、現在のジェット燃料(化石燃料)は短距離と長距離の航空機の最大許容離陸重量の9%と20%しか占めておらず、水素やバイオメタンを使用する場合の燃料重量の増加は、航空機の有効積載量を著しく減少させる。さらに、貯蔵タンクを搭載するために航空機の設計を大幅に変更する必要がある。
航空分野で使用可能な液体代替燃料としては、技術的にはバイオ燃料や合成燃料が唯一の選択肢
  • 航空分野では、高い燃料エネルギー密度が要求され、エネルギー貯蔵量が限られているため、バッテリーと気体燃料の適用が特に困難である。また液体燃料であるアルコール類は現在のガスタービン技術と互換性がない。そのため、ジェット燃料(化石燃料)を代替するのはエネルギー密度の高い液体燃料が最も適しており、航空分野で使用可能な液体代替燃料としては、技術的にはバイオ燃料や合成燃料が唯一の選択肢となる。
バイオ燃料の供給量は限定的
  • たとえば2014年の世界のジェット燃料需要の50%を水素化処理パーム油(植物油)で満たすとすると、必要な量のパーム油を栽培するために約3、400万ヘクタール(訳者注:日本の国土面積3、779万ヘクタール)が必要となるが、現在、世界中でパーム油の栽培に充てられているのは約1、700万ヘクタールに過ぎない。燃料生産用の土地面積の大幅拡大が必要であり、これは持続可能性の観点で問題。航空分野で必要とされる量のバイオ燃料を生産する能力が懸念される。
e-fuels*などの合成ジェット燃料の可能性
  • 本論文著者は大量の化石ジェット燃料を代替するには、グリーンな電力から製造するe-fuelsが最適であると提言。ドイツのWestkuste プロジェクトでは、陸上および海上の風力エネルギーの管理が困難な地域から電気分解によって水素を製造し、セメント製造施設から回収したCO2と組み合わせ、既存の石油精製工場で合成ジェット燃料を生産しハンブルク空港に供給する。

*e-fuels(electrofuels):再生可能エネルギーで発電した余剰電力などで生成した水素と多くは産業プロセスから回収した二酸化炭素(CO2)から作り出されたカーボンニュートラルな合成燃料のこと

◆◆抜粋翻訳◆◆

 以下に、本論文のうち、「航空部門における脱炭素化の分析」に関連する部分を抜粋した翻訳を紹介します。
 翻訳した文章については、以下の点にご留意ください。
  • 図表は子細であるため割愛しています。
  • 重要と思われる部分はアンダーラインを付しました。
  • 出典文献番号は、原文のまま文中に[  ]で示しました。出典文献の詳細をご覧になりたい方は、巻末に示した原文を検索し、出典文献を参照してください。

船舶、航空機及びトラックにおける脱炭素化−海運、航空及び道路貨物運送分野における適した低炭素燃料に関する分析−(航空分野部分の抜粋翻訳)

 

出典:Decarbonising ships, planes and trucks: An analysis of suitable low-carbon fuels for the maritime, aviation and haulage sectors | Elsevier Enhanced Reader

2.2. 航空分野
2.2.1. 航空分野概観及び航空機の分類
 2019年の時点で、航空機はエネルギー関連の排出源として最も急速に成長しているものの一つであり、最も気候変動に影響を与える輸送手段でもある[ 8、 61 ]。世界の航空機数は、2019年の約27、000機から2030年には39、000機に増加すると予想されている[62](COVID-19パンデミックの影響は考慮していない)。一方、航空機メーカーにおける効率向上は漸進的でその余地は少なくなっている。航空分野の大幅な脱炭素化を達成するためには、持続可能な燃料に加えて、運航や物流の改善が必要であることは明らかである[8]。
 航空分野で使用される航空機は、その大きさや用途によって分類される。一般的に、双発のナローボディ機は、国内/大陸横断路線で使用されている。しかし、燃料効率の良さから大西洋/大陸間路線でも利用されることが期待されており、市場でのシェアは拡大していくと考えられている[63]。ワイドボディ機は最も高価な航空機であり、従来のハブ&スポーク型の飛行ではなく、ポイントtoポイント型の飛行が増えていることから、このタイプの航空機の需要は減少している[63]。航空機の運用寿命は、その航空機が受けた加圧サイクル(フライト)の回数で決まる[64]。一般的に、短距離用の航空機は1日に数回のフライトを行うことができるため、長距離用の航空機よりも早く許容される加圧サイクル数に達する。一般的に、典型的な民間航空機は25〜30年の運用が見込まれている[63]。 現在、世界の航空機市場の平均年齢は11.3年であり、2029年には10.7年にまで低下すると予測されている[62]。 そのため、現在製造されている多くの航空機が、2050年になっても現役で活躍している可能性がある。

2.2.2. 航空機からのエミッション
 航空機は、世界のCO2排出量の約2%、年間900Mt(Mt:百万トン)を排出している[13、 65]。航空機は、燃焼によりかなりの量のCO2を排出しているが、CO2以外の温暖化効果にもかなりの影響を与えている [ 66、 67 ] 。高高度で発生する凝縮や蒸気の痕跡により正味の温暖化をもたらし、大気上層部へのNOxの放出はオゾンの生成を促進し、これも短期的な温暖化効果を引き起こす[66、 67]。したがって、航空機は人為的な温暖化の約4.9%に関与していると推定されている[8]。これらの非CO2温暖化の影響は、燃料が燃焼する場合には根強く残るが、合成燃料の使用によって凝縮痕の形成が減少する可能性を示唆する証拠がある[25]。
 2012年以降、航空機からのCO2排出量はEUの排出量取引制度(EU ETS)の対象となっており、2016年には国際民間航空機関(ICAO)が国際航空の炭素排出量取引制度(CORSIA)を導入している[68、 69]。どちらも航空会社のCO2排出量を削減するために設計された市場ベースの手段であるが、その運用には根本的な違いがある。
 EU ETS法は当初、欧州経済地域(EEA)を発着するすべてのフライトからの排出量に適用されるように設計されていたが、2013年にEU ETSの適用範囲を一時的にEEA内のフライトのみに制限することが決定された[69]。このいわゆる「時計を止める」決定は、2016年までしか有効ではないとされていたが、CORSIAの合意を踏まえ、EUは2017年以降もETSの地理的範囲をEEA域内のフライトに維持することを決定した[69]。 EU ETSはキャップ・アンド・トレード制度として運営されており、2004年から2006年までの過去の航空会社の平均排出量の95%に排出量の上限が設定され、排出量をさらに削減するために時間の経過とともに上限が段階的に引き下げられていく。この上限を超えた航空会社は、他のセクターから排出枠を購入することも求められる[69]。 Scheel-haaseらの研究によると、現在の形のEU ETSは、2036年までに世界の航空機関の排出量を4%削減できる可能性がある(ただし、炭素リーケージの問題があるかもしれない)。一方、地理的な除外規定のない「フルスコープ」のEU ETSでは、旅客航空からの世界のCO2排出量を16%削減できる可能性がある[69]。
 EU ETS とは異なり、CORSIA は、排出量の上限がないオフセット制度として機能するが、排出量のすべて(または一部)は、取引可能な炭素クレジットを購入するか、排出量削減のコストが安い分野で計測可能な CO2 削減を実現するプロジェクトに投資することで補償しなければならない[69]。
 CORSIAは、航空部門のカーボンニュートラルな成長を可能にするために設計されたもので、ベースライン年を超える排出量はオフセットしなければならないとしている(当初は2019年と2020年の排出量の平均値と決められていたが、現在はおそらくCOVID-19パンデミックの影響を考慮しなければならない)[69]。 CORSIAスキームは2021年に開始される予定で、参加国間のすべてのルートでカーボンオフセットを購入することが求められている。現在、71の州がCORSIAスキームに参加しており、世界のトンキロの87.7%を占めている[69]。 Scheelhaaseらのモデリングによると、CORSIAスキームによる排出量削減は、2021年に1.4%の削減とかなり小さなものから始まるが、航空セクターの成長に伴い、より大きな削減が見られるようになり、2039年には通常のビジネスシナリオと比較して18%の削減が予測されている[69]。

2.2.3. ジェット燃料仕様
 ジェット燃料は航空機用に特別に製造されたもので、主な化学成分はアルカン、イソアルカン、シクロアルカン、芳香族化合物である[30]。アルカンの水素/炭素比は高く、燃料が必要なエネルギー密度を持つことを可能にし、シクロアルカンは凝固点を下げるのに役立ち、芳香族の存在は燃料の潤滑性を向上させ、また燃料の漏れを防ぐためにシールやOリングが設計通りに機能することを保証する[30]。 ジェット燃料の最も一般的なグレードはジェットAとジェットA-1の2種類で、主な違いは凝固点がジェットAの−40 °Cに対してジェットA-1は−47 °Cであることである[70]。さらに、ジェットBと呼ばれるグレードのジェット燃料は、カナダ北西部やアラスカなどの寒冷地で使用されており、寒冷地での性能向上が求められている[71]。
 航空機の代替燃料への関心の高まりを受けて、合成炭化水素を含むジェット燃料に要求される基準の概要を示す新しい仕様書(ASTM D7566)が作成された[72]。合成ジェット燃料がASTM D7566の要件を満たしていれば、ジェットA/A-1準拠の燃料とみなされる[72]。現在、代替ジェット燃料を製造するための5つのASTM承認経路があり、そのうちの4つは合成パラフィン灯油(SPK)として知られるパラフィン炭化水素のみで構成された燃料が製造されている[73]。SPKの燃料には、シールの膨らみを確保して燃料漏れを防ぐためにジェット燃料に必要な芳香族化合物が含まれていない。このため代替ジェット燃料の安全性に関する他の懸念とともにSPK燃料は、代替ジェット燃料を取り巻く安全上の問題から、製造ルートに応じて通常のジェット燃料に混合する場合最大50%までにしなければならない[72]。
 現在、100%まで混合した代替燃料の試験が行われているが、完全な認証を得るためには、その安全性と信頼性を証明する十分な試験が必要である[74]。 5番目のルートは、SPKと芳香族(SPK/A)の製造である。SPK/Aは原理的には完全な合成ジェット燃料であるが、ASTMは現在、合成燃料の完全な承認に消極的であるため、石油ジェット燃料と50%まで混合する必要があり、このセクターの完全な脱炭素化の大きな障害となっている[ 72、 73 ]。ASTMが承認した代替ジェット燃料の経路は以下の通りである [ 72、 73 ] 。
  • 植物油および動物性油脂を原料とするエステルおよび脂肪酸の水素化処理(HEFA-SPK)、最大50%までの混合が可能
  • フィッシャー・トロプシュ(Fischer-Tropsch:FT)合成(FT-SPKおよびFT-SPK/A):合成ガスの触媒変換によるもので、最大50%までの混合が承認
  • アルコール・オリゴマー化とも呼ばれるアルコールtoジェット(ATJ-SPK)、最大50%までの混合が可能
  • 合成イソパラフィン(SIP-SPK)は、発酵炭水化物を水処理して得られるが、このプロセスでは単一の化合物(ファルネサン)しか得られないため、混合率は10%まで。

 FT合成で製造されたジェット燃料の承認は、特定の原料に限定されない。つまり、Power-to-Liquidコンセプトで製造されたFT燃料は、ASTMで承認されている。同じことが、Mobilによって開発されたメタノールからガソリンへの転換(Methanol to Gasoline:MtG)プロセスによって製造されたPower-to-Liquidジェット燃料には言えず、ASTMの承認はまだ保留されている[75]。 ASTMは235、000USガロンまでのテストを要求しており、これは研究開発目的で製造するには法外な量の燃料であるため、航空で使用するための認証を得ることは、新規燃料にとって重大な障壁となっている[76]。 EUのJETSCREENプロジェクトは、航空燃料メーカーとジェットエンジンメーカーに、承認プロセスを首尾よく行うための可能性を評価するための合理的なスクリーニングツールを提供することを目的としている。スクリーニングプロセスでは、低コストの小規模実験やモデルベースの試験を用いて、長期間でコストのかかる承認プロセスの前に代替燃料の特性を評価する [77]。

2.2.4. 今後の航空機エンジンの技術
 航空分野で使用される燃料は、以下のような特定の特性を持つ必要がある[78]。
  • 長距離飛行を可能にするための高エネルギー密度(MJ/m3)
  • 高エネルギー(MJ/kg)であることで、機体重量を減らし、燃料効率を向上させる。
  • 高い引火点(燃料が着火可能な蒸気を発生させる温度)による安全性の確保
  • 低凝固点、低温時の低粘度により、巡航高度での安全な運航を実現
  • 熱安定性が高く、ガスタービンエンジン内での燃料の化学分解を防ぐ
  • 潤滑性が高く、燃料ポンプが正常に機能することを保証する。
  • 多量の芳香族化合物が含まれており、Oリングのシール性を高め、燃料漏れを防ぐ

 航空機の推進力は、ガスタービンエンジンとジェット燃料に依存するという特徴がある。現在、全電動飛行機の開発が進められており、短距離飛行での利用が期待されているが、研究によれば、航続距離600マイルの典型的な双発ナローボディ機(エアバスA320やボーイング737など)を電動化するためには、バッテリーパックは800Wh/kgの比エネルギーが必要である。これは、現在の最新バッテリー技術の比エネルギーの4〜5倍にあたる[79]。 極低温水素の使用は、研究開発プロセスの中にあるが、航空機の電動化と同様に、今世紀後半までは実現可能な商業的オプションにならないと予想されている[31、 55]。アルコールは、エネルギー密度が低く、また今日のガスタービン技術とは互換性がないため、現在のところ航空分野には不向きである[78]。民間航空機の寿命の長さ、世界市場の大きさ、近・中期的に航空機推進の代替技術がないことを考えると、航空分野からの排出量を削減するためには、合成「ドロップイン」燃料**が不可欠であることは明らかである。
**ドロップイン燃料:エンジン等に何の改修せずに、従来の石油系燃料と混合して使える代替燃料

4. 燃料評価の判断基準
4.1. エネルギー密度
4.1.2. 航 空
 船舶とは異なり、航空機はEASA(欧州航空安全機関)の規制で定められた飛行完了に必要な最低限の安全重量の燃料しか搭載していない [123]。
 短・中距離飛行と長距離飛行の両方で航空機の動力源としてバッテリーを使用することは、現在のバッテリー技術の水準では現実的でない。短・中距離飛行では、必要なエネルギーを蓄えるために必要な電池の重量は、航空機の最大許容離陸重量の1.7倍になるが、長距離飛行では、必要な電池の質量は最大許容離陸重量の3.8倍になる。同様に、圧縮・極低温の水素や圧縮・液化したバイオメタンを使用した場合、燃料を貯蔵するための質量や容積が航空機の積載量に悪影響を与えるという問題がある。航空業界の大幅な変革がない場合、HVO(水素化植物油)、FTジェット燃料、MtGジェット燃料などのドロップイン燃料を使用して初めて、ベースと比較して、航空機の航続距離や有効積載量を同等にすることができる。

5. 今後の見通し
5.2. 航 空
 本稿で行った分析によると、短・中距離と長距離の両方のフライトを電動化するためには、必要なエネルギー量を蓄えるためのバッテリーの質量が、航空機全体の最大許容離陸重量のそれぞれ1.7倍と3.8倍になる。楽観的に燃料重量を現在の3倍に許容した場合、電池技術の比エネルギーを航空分野で実用化するには約6倍にする必要があるが、これは短中期的には実現できないだろう。
 水素(圧縮/極低温)やバイオメタン(圧縮/液化)などの燃料は、バッテリー技術に比べてエネルギー対重量の比が優れている。しかし、短距離フライトでは液体水素の使用が航空機の最大許容離陸重量の32%を占めるのに対し、長距離フライトでは液体水素が航空機の最大許容離陸重量の71%を占める。液化バイオメタンについても同様の結果で、短距離飛行では航空機の最大許容離陸重量の22%、長距離飛行では50%を占める。ベースラインシナリオでは、ジェット燃料は短距離と長距離の航空機の最大許容離陸重量の9%と20%しか占めておらず、水素やバイオメタンを燃料として使用することによる燃料重量の増加は、航空機の有効積載量を著しく減少させることになる。さらに、燃料の貯蔵と安全性に関し対応する必要があることから、加圧された貯蔵タンクを搭載するために航空機の設計を大幅に変更する必要がある。航空分野では、エネルギー貯蔵量が限られるため、高いエネルギー密度が要求され、バッテリーと気体燃料の適用が特に困難であることから、化石ジェット燃料の使用を代替するのに液体燃料が最も適していると考えられる。
 メタノールなどのアルコール類を改造したディーゼルエンジンで使用できる海運部門とは異なり、アルコール類は現在のガスタービン技術と互換性がない。そのため、航空分野で使用可能な代替燃料としては、技術的にはバイオ燃料や合成燃料が唯一の選択肢となる
 世界のジェット燃料需要(2014年時点で5.5 EJ、EJ:エクサジュール(10の18乗))[13]の50%をパーム油のHVOで満たすとすると、必要な量のパーム油を栽培するために約3、400万ヘクタール(注:日本の国土面積3、779万ヘクタール)が必要となる。世界中でパーム油の栽培に充てられているのは約1,700万ヘクタールに過ぎず[162]、燃料生産のためのパーム油の栽培に必要な土地面積は大幅に拡大する必要があり、これは持続可能性の問題につながる。efuelsシステムの生産性が高いことから、著者は大量の化石ジェット燃料を代替するにはPower-to-Liquid方式のefuelsが最適であると提言する。ドイツ北部のWestkuste 100プロジェクトは、合成ジェット燃料の生産のための持続可能なビジネスモデルの一例である[20]。このプロジェクトでは、陸上および海上の風力エネルギーの管理が困難な地域から電気分解によって水素を供給し、セメント製造施設から回収したCO2と組み合わせている。その後、既存の石油精製工場で合成ジェット燃料を生産し、ハンブルク空港に供給する。
 現在、航空分野での合成ジェット燃料の大規模導入には、ASTMによる合成ジェット燃料の最大混合率50%という制限があるが、これは芳香族化合物が含まれていないことと、より広範な安全性への懸念によるものである。合成ジェット燃料の混合率が50%を超えるようになると、耐空性を証明するための厳格な試験が必要となる

(出典) www.elsevier.com/locate/adapen  Advances in Applied Energy 1 (2021) 100008
Decarbonising ships、 planes and trucks: An analysis of suitable low-carbon fuels for the maritime、 aviation and haulage sectors

※本和訳は、あくまでも便宜的なものとして利用し、必要に応じ原文を参照していただくようお願いします。翻訳の間違い・不備など掲載されている情報の利用に起因して生じる結果に対して一切の責任を負わないと同時にいかなることも保証するものではありません。

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