Homeライブラリ世界の自動車用代替燃料2008年度

世界の自動車用代替燃料

一般財団法人環境優良車普及機構が政府指定機関として参加している、「国際エネルギー機関 自動車用先進燃料研究開発実施協定(IEA AMF)」の活動成果の一つとして発行されているニュースレターや様々なニュースソースからの世界の自動車用代替燃料に関するトピックスを紹介します。

2008年版

◆ 2007年の欧州輸送用バイオ燃料の状況

 2008年5月に欧州連合(EU)から発表されたBIOFUELS BAROME-TER*の暫定報告によると、2007年にEU加盟27ヶ国で消費された輸送用バイオ燃料は、前年の5.6百万toe**から37.4%増の約7.7百万toeとなった。これは全加盟国の道路交通部門における全燃料消費量の2.6%を占めている。
 バイオディーゼルは全体の75.0%を占める約5.8百万toeで前年に比べ41.7%の増加となり、一方、バイオエタノールは全体の15.2%を占める約1.2百万toeで前年に比べ33.8%の増加となった。また、純植物油(主にドイツ、アイルランド等)及びバイオガス(主にスウェーデン)等、その他のバイオ燃料の消費量は全体の9.8%を占める約0.8百万toeで前年に比べ14.9%の増加となった。

* 欧州委員会が推進するプロジェクトの一環として、新エネ関連の進捗率等を調査・発表する役割を担う組織であるEurObserv’ERにより、各国のエネルギー関連省庁等公的機関のデータを元に作成された報告書
**発熱量を原油換算して示した量、石油換算トン

[ ドイツ ]
 前年に続き2007年もEU最大のバイオ燃料消費国で、前年比15.2%増の約4百万toeを消費、EU総消費量の52.0%をドイツ一国で消費したことになる。しかし、2005年から2006年の1年間に86.2%の伸びを示したのに比較すると、増加率は鈍化している。

[ フランス ]
 ドイツに続くバイオ燃料消費国で、2007年の消費量は前年のほぼ2倍にあたる約1.4百万toeとなった。バイオディーゼルは前年比97.0%増の約1.2百万toe、バイオエタノールは前年比84.7%増の約0.3百万toeで、運輸部門におけるエネルギー消費量の3.5%がバイオ燃料ということになる(2006年は1.76%)。
 フランスではバイオ燃料生産やバイオ燃料販売に際して、政府による様々な税制優遇措置が講じられており、国全体でバイオ燃料消費の拡大に取り組んでいる。

[ 欧州が直面するバイオ燃料輸入問題 ]
 2003年に発効したEU指令による、2010年までに輸送用燃料の消費量における再生可能エネルギーの割合を5.75%とする目標に向けて、各国の産業界はバイオ燃料の生産設備に投資を行ってきた。しかし、2007年の数字を見ると、バイオディーゼルの消費量が前年比41.7%増となったのに比べて同生産量は前年比16.2%増にとどまっており、欧州バイオディーゼル審議会(EBB)はこの理由を、米国からの輸入量の大幅増加とみている。
 米国ではバイオディーゼルにごく微量でも鉱物ディーゼルが含まれればバイオ燃料混合燃料と見なして補助金を支給する制度があり、さらにこれをEU域内に輸出する際にはEU各国の税制優遇制度にも適合するため、二重の優遇措置を受けることになる。こうした状況に対して、EBBは反ダンピング措置を求める訴状を欧州委員会に提出し欧州委員会は調査を開始し、ドイツ等各国ではバイオ燃料の導入率を引き上げつつもバイオ燃料への課税率を増加させる措置を検討する等、一層デリケートな状況になりつつある。

[ 将来に向けた欧州の取り組み ]
 こうした状況の中、EUの中でもフランスやドイツのように自国の生産部門を保護する国と、英国やオランダのように輸入に頼って需要を満たそうとする国では主張が異なる。しかし、原料生産地の環境に悪影響を与えることなく、化石燃料使用によるCO2排出量を削減するという、EU諸国共通のバイオ燃料開発に係る目的に向けて、現在直面している試練を受け入れ、従来のバイオ燃料が持つ様々な制約を補うことのできる次世代バイオ燃料の開発を積極的に進めていくという準備は、各国とも整いつつある。

EurObserv’ER "BIOFUELS BALOMETER - June 2008" より抄訳
http://www.energies-renouvelables.org/observ-er/stat_baro/observ/baro185.pdf

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◆ 輸送用バイオ燃料政策に関する新たな動き

 石油など化石燃料の代替資源として期待されたバイオ燃料だが、トウモロコシや小麦など穀物類を原料とするバイオ燃料生産量の急増により食糧価格が高騰するなど、食糧との競合が懸念されている。
 その一方で、麦わらや雑草、廃材等の食糧以外の原料から作られ、環境を破壊せず食糧原料とも競合しない、いわゆる「第二世代バイオ燃料」の研究開発も進みつつあり、これまでのバイオ燃料普及策の見直しを求める動きが出始めている。

[ 「第二世代バイオ燃料」への欧州の期待 ]
 2008年1月、欧州委員会(EC)は、2020年における欧州全体での最終エネルギー消費量の20%、および各国の運輸部門における同消費量の10%を再生可能エネルギーとすることを義務づける指令案を提案し、法制化に向けて検討が進められている。
 さらに、欧州議会* 産業委員会は同年9月、2020年の道路輸送部門における再生可能エネルギーの割合を10%とし、かつ、少なくともそのうち40%、すなわち道路輸送用燃料全体のうち4%は、食糧を原料としないバイオ燃料、電力または水素とする修正提案を発表した。委員会は、2015年における道路輸送部門における再生可能エネルギー割合を5%とする中間目標も提案しており、少なくとも1%については食糧生産と競合しない、再生可能資源からの電力や水素、リグノセルロース系バイオマス**、藻類からのバイオガスまたは輸送用燃料とするとしている。
 委員会はまた、これまで重視されていなかった、地域コミュニティの土地利用権の尊重や、すべての労働者に対する公正な報酬という、社会的な持続可能性に関する評価基準についても含めることとしている。これらは、食糧を原料とするバイオ燃料生産による、小農民や先住民からの土地の搾取、労働者の虐待、森林や生物多様性の破壊など、持続可能性に対する懸念が背景となっている。

* 欧州連合(EU)の議会であり、EUの活動に対して民主的なコントロールを行うことを目的として設置されている。
**植物や木材の主要構成成分を原料とするバイオマスで、代表的なものには、木材、稲わら、パルプや古紙などが挙げられる。

[ 持続可能な社会構築か・不公正な貿易障壁か ]
 こうした流れの中で、世界最大のバイオディーゼル消費国であるドイツ政府が、各国の再生可能エネルギーの数値目標に換算できる「持続可能なバイオ燃料」のリストから大豆とパームオイルを原料とするバイオディーゼルを除外する動きがあり、これによってバイオディーゼルの輸出国であるマレーシアが打撃をこうむることになる。
 このような動きは今後も加速することが考えられ、パームオイルなどのバイオ燃料生産に利用できる未開発耕作可能地のストックを多くもち、バイオ燃料生産促進を開発政策の重要な柱としている途上国は、「EUが法制化しようとしている持続可能なバイオ燃料政策に関する内容は、不公正な貿易障壁だ」として反発しており、世界貿易機関(WTO)への提訴も辞さない構えを見せている。

“AMFI Newsletter October 2008, issue No.4” IEA AMF
http://www.iea-amf.vtt.fi/news/amfinewsletter2008_4october.pdf
“More sustainable energy in road transport targets” Press release from European Parliament, September 11, 2008などから抄訳、編集

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◆ 食糧生産と競合しない“代替”バイオ燃料

 インドネシアでは、国内各地で地域住民によって運営される合計100万ヘクタールのサトウヤシ混合樹林地から、バイオ燃料を生産するプロジェクト「エコ・インテグレーション」が2008年11月から始まり、これによってオランダのガス・電力需要の半年分に相当するエネルギーがまかなえる計画である。
 サトウヤシの木は熱帯雨林や農地に手を加えることなく、荒廃地に他の種類の灌木類とともに植えられ、採取された樹液は発酵過程を経て、最終的にはエタノールが生産される。このプロジェクトではエタノールを生産するだけでなく、オランダのロッテルダム港への輸出・輸送のシステムも確立される予定で、プロジェクトの責任者は3億ユーロ*の資金を市場から調達し、インドネシアのほかコロンビアやタンザニアのサトウヤシ樹林にも資金提供を行う。
 最近、バイオ燃料と食糧との競合が取りざたされているが、このプロジェクトでは、サトウヤシを竹、バニラ、バナナなど他の栽培作物と混合植林することで、農地にならない浸食土壌でも栽培できるため、こうした問題は避けられるという。また、サトウヤシは多くの水や肥料を必要とせず、サトウキビの6倍の生産性であるとされている。

* 1ユーロ約124円で約372億円換算

“AMFI Newsletter October 2008, issue No.4” IEA AMF
http://www.iea-amf.vtt.fi/news/amfinewsletter2008_4october.pdf
“iNS/news/net”
http://www.insnet.org/ins_headlines.rxml?id=24901&photo=
などから抄訳、編集

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◆ エタノール用トウモロコシの消費量予測下方修正 〜 米国 〜

 米国農務省(USDA)は「世界農産物月次需給報告」2008年12月版の中で、米国の2008/2009年度のエタノール用トウモロコシの消費量予測を、同年11月版では1億160万トンとしていたものを9,400万トンに下方修正した。これは2008/2009年度のトウモロコシ総生産量予測の30.8%、備蓄及び輸入を含めた総供給量予測の27.1%にあたる。
 USDAではこの状況について、国内のエタノール生産者の財政金融問題が生産工場稼働率の低下を招き、建設中の設備の新規稼働を遅らせていること、また、ガソリン価格の下落がエタノールの相対価格を押し上げたために、燃料生産者の生産動機を鈍らせていること等が一因とみている。
 トウモロコシの輸出量は、海外産の穀物供給量の増加による競争激化および、これまでの販売ペース鈍化の影響により、254万トン少ないと見積もられる。また、季節平均農産物価格は1ブッシェル(25.4kg)あたり3.65〜4.35米ドルと予測され、前月の4.00〜4.80米ドルから最安値、最高値とも下落している。
 また、世界全体の粗粉雑穀*の消費量は、主に米国のエタノール向けトウモロコシ消費量の減少により740万トン減少すると予測されている。さらに世界全体の粗粉雑穀の備蓄量は、前月より1,460万トン多い1億6,550万トンと見積もられ、2004/2005年度以降、最も多くなっている。

* トウモロコシ、大麦、オート麦、ライ麦等の雑穀で、主に飼料用

Green Car Congress 2008年12月23日記事より抄訳
http://www.greencarcongress.com/2008/12/usda-reduces-fo.html#more

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